高校生彼氏



「ごめんなさい……嫌わ……ない…で」







嗚咽しながら絞り出すような声。






「男の子に初めて言われたの。背筋延ばせって自信持てって。今までこんな体格だから敬遠されるのが当たり前だったから。私太ってる事がコンプレックスで…」






今度は一生懸命涙を擦るから目の周りがすっかり赤くなっちゃってる。





「自惚れてるのかもしれないけど………片岡くんにだけは嫌われたくないの。おかしいよね、可愛くないうえに私の方が年上なのに…………」
「おかしくねーよ」






余りに擦るから見てるのが痛々しくてその両手を掴む。当の本人は驚いてるけど……フワフワな腕の感触。嫌いじゃない。







「大丈夫。嫌いになったりしない。大丈夫だから………」








諭すように宥めるように目を見つめてゆっくり喋る。早く涙を落ち着かせてやりたかった。

俺の言葉に安心したのか、フニャッと崩れた泣き顔が………不覚にも可愛いと思ってしまったんだ。ちょっと軽くショック……。







「良かった………私これを一生の励みにして頑張れます」







そっと俺の手を丁寧にはずすと、ぺこっと頭を下げる。きっと俺がどんな気持ちだとか全然考えてもいないんだろうな………。







「片岡くん先に病室戻って。私落ち着いたら行くので」






へへっと笑って俺の背中を押す。








この彼女に対する気持ち、これは紛れもなく恋だろう。悔しいけど認めざる得ない。
可愛かったり、危なっかしくて放っておけないとこも泣かせたくないとこも守ってあげたいと思う事も……………


でもアイツは俺の事恋愛対象として見てないんじゃねーか?タダの高校生のガキだし…………どうする?




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