高校生彼氏
ひたすら考えたけど、いい考えが浮かばないまま、退院を迎えてしまった。
荷物をまとめて親とナースステーションに挨拶に行く。
-いない……-
出払ってるのか休みなのか…結局その姿を見つける事はできなかった。
うちに帰って来ても頭に浮かぶのはアイツの事ばかり。
それから俺はいつも通り学校にも復帰した。でも二日経っても三日経っても想いは消せない。それどころかそれは大きくなる一方――――――
-ガタッ………-
「なんだ?」
それから更に何日か経ち、帰ろうと思って下駄箱を開けると中にピンクの封筒。
《放課後中庭で待ってます 一年松坂亜美》
「あれ、龍弥ラブレター?」
「ん~……知んね」
「お!松坂亜美ちゃんて一年の中じゃ断トツに可愛いって噂の子じゃん♪」
「そうなの?」
アイツの顔が頭の中を占めてもうそんなのに興味がわかない。
もちろん断るつもりで中庭に行った。
ポプラの下に立っていた女の子がこっちに向かってパッと走りよって来た。
「片岡先輩っ!」
小さくて細い体に色白の小顔でフワフワの髪。確かに可愛い。この前までの俺ならOKしたかもしれない。でも………
「私…新歓の時に先輩見てからずっと好きでした。あの…私と付き合ってくださいっ!」
自分のことをちゃんと分かってる甘えたような上目遣い。どうすれば男が落ちるかちゃんと知ってるんだな。
アイツは不器用でそんなことできないけどそれでも……
「ごめん」
「え…」
絶対落ちると思ってたんだろう。ビックリした顔でこっちを見上げてる。
「好きな娘いるんだ。片思いだけど…告ろうと思ってる」