高校生彼氏
「先輩……その人私より可愛いですか?魅力ありますか?」
納得いかないって感じ。きっと今までフられたことがないんだろう。プライドを傷つけられてこっちを睨み付けてる。可愛い顔も台無しじゃん。
「見た目はきっと君のが可愛いよ。でも……女の魅力は君より全然上かな」
「酷いっ…」
「ごめん」
どんなことがあっても患者を大切にするアイツ。自分が不利になる状況でも絶対嘘を付かないアイツ……
俺はアイツを忘れられない。何もしなきゃ先に進めないじゃん。
彼女に丁寧に頭を下げて走り出した。行く先は決まってる………こうなりゃダメもと。当たって砕けてやる。
「はぁっはぁっ……はぁ………」
息が切れる。体なまってっからな……病院の正面入口に来たけど、すでに診療時間は過ぎていてがら空き。
仕事終われば多分裏から出るんだろう。ぐるっと回って通用口の前の花壇の石垣に腰を据える。
今日会える保証はない。既に帰ってるか休みか夜勤か………
それでもいてもたってもいられなかった。
会えるまで何回でも通おう。何時まででも待とう。この気持ちを君に届けるまで………
そういいながらも、かれこれ六時間。とっぷりと日が暮れてもう夜の九時。それよりも小一時間ほど前から降り出した雨で全身ずぶ濡れ。夏とは言えさすがに夜の雨は体が冷える。
「寒み…………」
冷たい身体を縮めて考えるのはアイツの事ばかり。今日はもう会えない?会いたい。アイツのぬくもりに暖めて欲しい………。寒いからそんな事考えるのか。変態じゃん。
「あれ?片岡くんだよね?」
聞き覚えがある声。顔を上げると………私服姿のライトの彼女。
「何してるのこんなとこで………やだずぶ濡れじゃない!」