高校生彼氏
ポンと傘を開くとこっちに近付いて来る。
「違うこれは……」
「わかってますよ。最初から見てましたから」
カラカラと笑ってる。そっかヤキモチ妬くわけないんだ。俺ってば何自惚れてんだろ……。
「じゃ………」
「待てよ」
通り過ぎようとしたところを目の前に立ちふさがる。俺の位置からは傘に隠れて顔が見えない。ライトの彼女に目で合図するとにこっと笑って『頑張って』の一言。
「佐藤さん!さっ引き止めたのはライトに余計な事言わないどいてって言いたかったんだ!」
「了解♪内緒にしとく☆」
ヒラヒラ手を振って今度こそ行ってしまった。
「じゃ私も……」
「話………聞いてよ。待ってたんだずっと」
その言葉にビックリしてる。傘を持ち上げ、俺の顔を凝視してる。
「あ……」
ライトの彼女が言ってた事何となくわかった気がした。
傘から覗くアイツの姿は最後屋上で会った時よりも一回り小さくなっていた。顔も少しスッキリしてる。
でもなんでそれが俺のおかげ??
「あの……~っくしんっ!」
「そういえば片岡くん傘は!?」
「……ない。降る前から待ってたから」
「降る前って……」
「三時くらい…から?」
「三時?…六時間も!?やだ風邪引いちゃうじゃないですか!あぁ、どうしよう…」
「いや、話聞いて貰いたかったから…」
「話って?何ですか?急ぎの用件ですか?」
傘を差し掛けてくれながら、メチャメチャ焦ってる。久々に会ったけど……可愛い。やっぱ好きだ。
「超急ぎ。今日じゃなきゃダメなの」
「本当は璃乃さんに…でしょ?」
「………は?」