高校生彼氏
-カチャカチャ…ガチャン-
私から預かった鍵で先に玄関を開けてくれた龍君。
「はいどうぞ。お姫様♪」
「えっと…ありがとう」
戸を開けた手と反対側の手でスマートにエスコートしてくれる。
自分の家なのになぜか遠慮がちに上がった。
-パチン-
「うわぁ……」
「へへっ。らしく見えるでしょ」
電気を点けて明るくなった室内。中央のテーブルの上には小さいクリスマスツリーがセンス良く飾り付けられていて、イチゴの乗った可愛らしいケーキとシャンメリが置いてある。
「座って」
龍くんに勧められるままに席に着く。
「ごめんね。シャンパンじゃなくて」
「ううん、全然」
渡してくれたグラスを受け取る。
「じゃ…メリークリスマス♪」
-チン♪-
グラス同士がぶつかる軽快な音が部屋に響き渡った。
「よかった。こうやって南ちゃんと過ごせて。用意したものの、留守電聴いた時はまじ凹んだし」
「ごめん…」
「ちょっと~そんな暗い顔しないで?今日は特別な日にするんだから笑ってよ」
「特別な日?」
その言葉にドキッとした。
それは私がずっと心に秘めてた言葉だったから。
「俺さ、もう何か月で卒業できるだろ。春から社会人だ。ライトみたいに何年も待たせなくてもその……」
「?」
頭をワシワシかきながら下を向いてしまった。そして何を探してるのかゴソゴソポケットをあさってる。
「はい」
ぽんとテーブルの上に乗せられた小さな箱。
「これは?」
「開けてみて」
包みを開け、中に入ってた小箱をそっと開くと………
「指輪!?」
「ん……」
中から出てきたのはシンプルだけど存在感のあるシルバーのリング。