高校生彼氏
「今更そんな事聞く?よくなきゃプロポーズしないでしょ?」
「そうだよね。ごめん…私ってやっぱり抜けてる」
ふいに龍くんの長い手が伸びて来て頭をなでなでしてくれた。
「早く返事聞かせて欲しいんだけど」
自分に自信がない分、受けていいのか、この先龍くんに飽きられはしないか心配は付き纏うけど……ここは龍くんを信じてみよう。
「……よろしくお願いします」
「よっしゃ!!」
龍くんのガッツポーズの直後。私は一瞬にしてその腕の中にすっぽり治まっていた。
ぎゅ~って抱き締められる軽い圧迫感が気持ちいい。
それから龍くんはそっと私の左手の薬指に指輪をはめてくれた。
ちょっと前に璃乃さんが『婚約したの』と嬉しそうにそして幸せそうに話してくれた。
私は心からおめでとうを言った。二人には幸せになって欲しいから。
でもまさか自分にもそんな日が来るなんて夢みたい……。
左手に光るシルバーのリング。
「これで一生俺のもん♪」
「…そっか」
私、龍くんのものになるんだ。ってことはつまり………。
合鍵を渡す事以上に覚悟を決めていた事。
「よしっ。じゃ今日はもう遅いし帰るよ。あ~良い夢見れそ…」
時計を見ると12時を回っていた。すっくと立ち上がって大きく伸びをしている龍くんの背中。
今私に必要なのは龍くんを想う気持ちにふりかける少しの勇気。
「待って…」
「ん?」
龍くんの顔を見る事はできない。でも精一杯の気持ちを込めて震える手でGパンを掴んだ。
「今日は……帰らないで」
「えっ?」