いろんなお話たち
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自分達の保身を気にするなら家に引き籠もっていればいいのに彼らは平常通り私の側にいた。
何でも二人の言う招かねざる客は抜け目のない人間らしく、…別にこんな障害者狙っても何の得もないんだけど。
しかし目立つ。
目立ち過ぎる…こと沖田眞行が。
最近は歴女が流行っているからか彼を見て○○様と騒ぐ女性も何人か。
ふんっ、イケメンだから元々騒がれてそうだがね(皮肉)!
「…妙に視線を感じるな」
フードコート内。
バニラアイス(コーン)を手にクラウスさんがぽつり。
あんたら二人のせいよ。
じっとりと睨むと勘違いしたらしい久登さんがアイスを勧めてきた。
…今父母に頼んだから要らんよ、大丈夫!
「…いやぁしかし君達は凄いなぁ!」
チョコアイスを手にテーブルに戻ってきた父が椅子を引きながら言う。
私はその後ろの母からチョコミントを受け取った。
「店員さんまでもがアイスを作りながらちら見! 私もそういう体験してみたかったよ」
にこやかな父に久登さんは疲れたように苦笑し、クラウスさんは不思議そうに辺りを見回す。
「…しっかしこの時期(10月)だってのに…夏と変わらねぇ恰好してんだな」
ここ一週間は暖かい日が続いてて特に今日は快晴の為か30℃近くいくところもあると気象庁の熊谷さんが言っていた。
30℃なんて言われた日にはもうその日は夏って事で、若い子は脚出したり肩出したりするに決まってる。
「女がむやみやたらに肌を晒すのは賛同しねぇが…」
なにその口調。
あんたは俗に言う侍ヲタなんだから身なりだけでいいのにそんな事してるから衆目を集めるのよ。
そう思っていると不意にクラウスさんの目が私に向き、
「てめえは中途半端だな」
「……」
今の私はTシャツとジーンズ姿だ。
ふつうの格好だ。
クラウスさんはどういう意味合いで中途半端と言ったのか…敢えてムシする事にする。
「七海」
どこか焦りを感じた声に久登さんの方を見ようとして手にヒヤリとしたものを感じた。
はっとして手元を見るとアイスが溶けている!
しまった、私ただでさえ食べるスピードが遅いのにクラウスさんと話してたから……。
「かっ母さんっ」
かろうじて右手の上には落ちてなかったが、とっさに母の名を呼ぶ。
すると横からアイスのコーンを掴む手があった。
「しょうがねぇな…持っててやるよ」
手の主はクラウスさん。
ついでに彼は新たに溶け始めた部分を唇で食む。
「七海、貸せ」
人のアイスを食べるなぁ! と叫びかけたところで静かな久登さんの声がした。
アイスまみれの手が許可なく引っ張られ彼の口元へ……ぺろりと舐められた。
「…!?」
あんぐりと大口開けたまま固まる私に久登さんは綺麗に手のアイスを舐め取り、
「…どうした?」
解放する。
「いや……どうもありがとう」
濡れた手の甲に空気が触れると少しひんやりする。
呆然と見つめてると、
「みゆ」
と声がかかった。
目線を上げるとチョコミントアイスが目の前にあった。
コーンの上の丸が気のせいか小さくなっている気がするがそんな事もう、どうでも良かった。
自分達の保身を気にするなら家に引き籠もっていればいいのに彼らは平常通り私の側にいた。
何でも二人の言う招かねざる客は抜け目のない人間らしく、…別にこんな障害者狙っても何の得もないんだけど。
しかし目立つ。
目立ち過ぎる…こと沖田眞行が。
最近は歴女が流行っているからか彼を見て○○様と騒ぐ女性も何人か。
ふんっ、イケメンだから元々騒がれてそうだがね(皮肉)!
「…妙に視線を感じるな」
フードコート内。
バニラアイス(コーン)を手にクラウスさんがぽつり。
あんたら二人のせいよ。
じっとりと睨むと勘違いしたらしい久登さんがアイスを勧めてきた。
…今父母に頼んだから要らんよ、大丈夫!
「…いやぁしかし君達は凄いなぁ!」
チョコアイスを手にテーブルに戻ってきた父が椅子を引きながら言う。
私はその後ろの母からチョコミントを受け取った。
「店員さんまでもがアイスを作りながらちら見! 私もそういう体験してみたかったよ」
にこやかな父に久登さんは疲れたように苦笑し、クラウスさんは不思議そうに辺りを見回す。
「…しっかしこの時期(10月)だってのに…夏と変わらねぇ恰好してんだな」
ここ一週間は暖かい日が続いてて特に今日は快晴の為か30℃近くいくところもあると気象庁の熊谷さんが言っていた。
30℃なんて言われた日にはもうその日は夏って事で、若い子は脚出したり肩出したりするに決まってる。
「女がむやみやたらに肌を晒すのは賛同しねぇが…」
なにその口調。
あんたは俗に言う侍ヲタなんだから身なりだけでいいのにそんな事してるから衆目を集めるのよ。
そう思っていると不意にクラウスさんの目が私に向き、
「てめえは中途半端だな」
「……」
今の私はTシャツとジーンズ姿だ。
ふつうの格好だ。
クラウスさんはどういう意味合いで中途半端と言ったのか…敢えてムシする事にする。
「七海」
どこか焦りを感じた声に久登さんの方を見ようとして手にヒヤリとしたものを感じた。
はっとして手元を見るとアイスが溶けている!
しまった、私ただでさえ食べるスピードが遅いのにクラウスさんと話してたから……。
「かっ母さんっ」
かろうじて右手の上には落ちてなかったが、とっさに母の名を呼ぶ。
すると横からアイスのコーンを掴む手があった。
「しょうがねぇな…持っててやるよ」
手の主はクラウスさん。
ついでに彼は新たに溶け始めた部分を唇で食む。
「七海、貸せ」
人のアイスを食べるなぁ! と叫びかけたところで静かな久登さんの声がした。
アイスまみれの手が許可なく引っ張られ彼の口元へ……ぺろりと舐められた。
「…!?」
あんぐりと大口開けたまま固まる私に久登さんは綺麗に手のアイスを舐め取り、
「…どうした?」
解放する。
「いや……どうもありがとう」
濡れた手の甲に空気が触れると少しひんやりする。
呆然と見つめてると、
「みゆ」
と声がかかった。
目線を上げるとチョコミントアイスが目の前にあった。
コーンの上の丸が気のせいか小さくなっている気がするがそんな事もう、どうでも良かった。