いろんなお話たち


今朝方私が感じた嫌な予感は、決して間違いではなく。
おっとりした母に代わり、先生のありがたくも厳しい苦言が待っていた。
最初のうちは仕方ない、自分が悪いから素直に聞くものの、後半は……単なるBGMと化していた。
始業チャイムが鳴っても腹の虫がおさまるまで延々と続くあれは…地獄の即興曲というかなんというか。
せめて部活だけは平和でありますよう……参加してないけど、その点では怒られるかもしれないけど、連絡網は(遅れたけど)ちゃんとまわしたんだから大丈夫なハズ。
男の佐々木さんが明子ちゃんに取り次いでさえいてくれれば。
「小島さん?」
…って、思ったのにー!!
音楽室のドアを開けると仁王立ちの先輩の姿が。
腰に手をあて私を見下ろす目は…えっと…。
「お…遅れてスイマセン…。直子先輩」
あまりの恐さに口元がヒクつる…頬がピクピクと痙攣する。
「ちょっといいかしら?」
荷物置いたらすぐに来い、と言うように手で合図する直子先輩。
よよよ、呼び出し…ば、場所を変えるってドンダケなんだっ。
早めに行かなければ。
一足先に音楽室を出て廊下を行く先輩に遅れをとらぬよう、中に入ってちょっと段になってるところに鞄を放り投げ、
(荷物はいつもみんなまとめてここに置いてる)
「小島さん!」
するとその行いが悪かったのか、ピー・プー音がする中で部長の澄んだ声がした。
「は、はい!」
返事をする時にはもう私はドアから一歩足を踏み出していた。
…けど、慌てて足を引っこめる。
部長の所まで行こうかと思った…ら、部長の方から私の下へと来てくれた。
「小島さん。あなたの気持ち、わかるわ。でもね…あなたなら大丈夫よ」
〝頑張って〟
私の両手を握りしめそう言う部長。
この人も結構厳しい人だけど…。
一番怖がられているのは直子先輩だったりして。
部活内での憎まれ役を買って出たそんな人に、パーカッションを教わってる私。
怒られてばっかりだったけど、なんだか今回が一番スゴそうだから…それのエールを送ってくれてるのかな…!?
だとすると嬉しいのかどうか…微妙な感じ……。
(大半とも私に非がなければ直子先輩は怒らない。したがって今回も私が全ての原因を占めているのは、ほぼ確定的だろう)
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