【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー



今日の目的であるお祖父ちゃんからの戦争の当時の話を聞くために、私達はお祖父ちゃんを囲む。



濡れ煎餅を食べながら聞く話は、日本目線とはまた違い、胸にチクチク刺さるものがある。



勝敗は終戦の宣言がされるずっと前から決まっていたのに、戦わなければいけない苦しみと、終わってからもここの土地の住民を壕から助け出さなくてはいけないこと。見つけ出した後のこと。



その話のひとつひとつを聞き逃さないように、私も、三人も真剣に耳を傾ける。



「僕はね、日本という国が、沖縄という場所が大好きだ。自然も文化もね。理解してもらうまでには時間がかかったけど、こうして照喜名の姓を名乗らせて貰えて、息子が生まれ、雅治達孫が生まれた。世界の中では小さな出来事だけど、僕にとっては大きな幸せなんだよ。」



お祖父ちゃんがアメリカ人だということで、この土地で生きるのにどれだけ大変だったかは計り知れない。



けれど、今が幸せだというその言葉は本物で、私は胸が熱くなった。
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