【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー
その後、折角遠出したんだからと西表島の海を堪能するだけして、私達は帰路につく。
流石にはしゃぎ疲れたのか、帰りは賑やかな歌声を響かせることもなく、後ろの二人は熟睡。
「貴方も気を使わないで寝なさいよ、悠莉。」
「大丈夫だよ。」
何となく、永太に運転を任せて寝てしまうのを申し訳なく思っていた私だったけど、永太にはそれもお見通しみたいで。
「悠莉、少し早いけど………ありがとう。貴方が沖縄に来てくれたお陰で、俺達は楽しかったです。」
「………やだなぁ、そんなの、私こそありがとう、だよ。自然交流委員会が三人で、ホントに良かった。」
まさか永太から『ありがとう』なんて言われるとは思ってなかったから、驚いた反面、私も素直に感謝の気持ちを伝えれる。
「でも、なんで今『ありがとう』なんて言ってくれたの?私、帰るの明後日だよ?」
新学期の9月2日に合わせて、私が帰るのは1日の朝。明日だって一日沖縄にいるのに。
「俺から感謝の気持ちが伝えれるのは、最後かもしれないでしょう?悠莉が俺じゃない、澪か雅治を選んだら、邪魔は出来ませんし。」
普段は鬼畜な発言ばかりなのに、こういう繊細なことを考えていたりする永太。
そんな永太の運転する横顔を見て、私は三人の誰かを明日までに選ぶことを真剣に考えた。