【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー
その後、夕方から私の送別会を開いてくれるということで、沢山の人が山入端邸の居間に集まっていた。



「ちぇーっ悠莉や澪を選んだか。永太、フラれたどぅし付き合うか?」



「そうですねぇ、じゃあ、大人しく俺に掘られなさいよ、雅治。」



そんな、冗談混じりのホモ会話を交わす二人に、申し訳ない気持ち以上に感謝の気持ちでいっぱいになる。



永太に『優しく抱いてね』なんてことを半笑いで言った雅治は、ぴょーんと立ち上がり、端に置いてあった三線の方へ走っていく。



「送別会も盛り上がっていちゅんぞー!」



「当たり前やっしー!!」



「わはは!歌えー雅治ぅ!」



雅治が賑やかに三線を奏でて楽しそうに歌い、周りが合わせて掛け声や指笛を鳴らしながら踊り始める。



最初から最後まで賑やかな沖縄でのこの時間。



「悠莉、マジュン踊ろう!」



「うんっ!」



湿っぽい気持ちになる暇もなく、澪ちゃんに手を引かれ、踊っている輪の中に飛び込んだ。



私の沖縄でのこの夏は、こうやって、賑やかに楽しく、愛の溢れた時間だけが残っていく。



隣で踊る澪ちゃんは、穏やかな無表情だけど、多分笑っているのだろう。



そう思うと、私も涙じゃなくて、自然と笑みが溢れ出した。
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