【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー
**2**
すっぴんに、綺麗になる魔法を少しトッピング
沖縄、二日目の朝。
昨日は盛り上がった。そりゃもう、団地のうちでやったら苦情殺到間違いなしってくらいに。
お婆ちゃんが作ってくれたソーキ蕎麦に、誰の悪戯か『こーれーぐーすー』という調味料をぶっこまれ、辛すぎてのたうち回った記憶までは何とか残ってるけど。
辛いものを食べてしまい胃がピリピリしてるせいで、私にしては早い時間に起きて、朝シャンを頂き洗面台で髪の毛を乾かしていると、後ろの扉が開く。
「あー、はよ、永太。」
黒のタンクトップに短パン姿の、寝起きの永太。寝起きは寝起きですーって顔してんだね、意外と。
「ああ…おはようございま…………!」
ふにゃんとしていた永太だけど、私を確認した瞬間、瞼がシャッキーンと開く。
「………え、何?凄い顔。」
「間違いありませんね…これはあのふらーいなぐだ。しかし…え、マジですか。」
『ふらー』と『いなぐ』が昨日一日で『馬鹿』と『女』という意味だというのは覚えたから、悪口だっつうのは分かったぞ、コンニャロ!
「朝から悪口?酷くね?ぐれるよ。」
「いや…えーっと。貴方、すっぴんこんな顔なんですか?」
あ、そういや、まだ化粧してないから、すっぴんじゃん。うわ、やだなぁ。
私はすっぴんは目元が少しキツくて、猫みたいな目をしている。
芸能人に似てる顔がいるんだけど、あんなに可愛くないし、すぐ睨んでると勘違いされるし、好きじゃないんだよね。
ギャルメイクで垂れ目に見せるように努力してるし、高校に入ってからは気付かれてないけど。