【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー
本島と離島を懸ける、海上に浮かぶ幻想的な道路を経て、私はひとつの島に辿り着く。



生まれて初めて、生命の危機に晒された地獄のドライブの後のせいか、何ひとつ、美しい自然に感動出来ていない。



「そんなひょろっちい体をしているからすぐ疲れるのです。やまとんちゅーは、体力が無いですね。」



おい、私を殺そうとした本人が何言ってんだコンニャロォ!



…と叫びたいところだけど、元気ない。口の中パッサパサだし。



辿り着いた民家は、沖縄の情景にぴったりの古民家で、真っ赤なハイビスカスが広い庭に広がり、立派な門にはシーサーがでん、と構えている。



「ここが貴方の1ヶ月生活するところですよ。どうです?」



「うん………キレー。」



その佇まいとか、何処までもビビッドな色が広がるこの風景にぴったり映えるハイビスカスの赤とか、ホント綺麗。



やっと風景に感動する余裕が出来て、iPhoneを取り出し写メっていると、隣の鬼畜がクスッと笑う音が聞こえた。



「無邪気なところは可愛いじゃないの。めんそーれ、悠莉。」



そのビビッドの世界に、一際美しい美形が、まるで、一枚絵みたいに私に飛び込んだ。
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