君のイナイ季節
「いらっしゃい」

私よりも先に庭に出ていたパパが拓海くんと話していた。

…く、悔しい!

私が先に出迎えたかったのに!!

私は慌てて外に出る。

「拓海くん!」

拓海くんはヘルメットを脱いでにっこりと笑った。

「やあ」

「いらっしゃい〜!」

拓海くんはヘルメットを脱いでミラーに引っ掛ける。

今日はTシャツにジーンズというラフなスタイルの拓海くん。

その上にメッシュのライディングウェアを羽織っていた。

「暑いのに、ちゃんと着てるんだね」

パパがウェアを指差す。

「万が一、がありますからね。
もし転倒して怪我だとチームに迷惑がかかるから」

拓海くんはバイクから降りてウェアの袖を緩めた。
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