君のイナイ季節
採寸から1週間で作り上げられたドレスとタキシードを合わせてみる。

「うわあ、カッコイイ!」

被服室はざわめいた。

拓海くんが先に着替えるとデザイン部の子達が騒いでいる。

その声を準備室で着替えながら聞いていた。

確かに、拓海くんはカッコイイ。

みんなが騒ぐのもわかる気がする。

「柏原くん、やっぱり女の子に人気あるわね」

着付けをしてくれている能勢先生が笑った。

「心配じゃない?」

確かに心配。

前の高槻さんの件もあるし。

「でも、拓海くんは。
いつも私を真っすぐに見つめてくれるんで、大丈夫かなって思います」

「そうね、柏原くんは平野さんが好きで仕方がないみたいだし」

能勢先生は私の前でチェックをして

「さ、出来た!
綺麗よ〜。早く柏原くんに見せなくっちゃ」
< 135 / 205 >

この作品をシェア

pagetop