君のイナイ季節
しばらくして。



私はようやく頬を伝う涙を拭いた。

拓海くんが私を抱きしめる。

「ごめんね、こんな話」

そう囁かれた。



わかってる。

わかってるよ、拓海くん。



君がそういう世界に住んでいるのがわかってから、本当は覚悟していないといけない事なんだ。

でも私にはその勇気がない。

君がここから消えるなんて考えられない。

いつの間にか、拓海くんと一緒にいることが当たり前になって。

お互い嫌になって別れたりして、拓海くんが私の隣にいない、そういう事は全く考えられなくなってしまった。



これは私の、甘えなのかな?



拓海くんがいないと。

私は、どうやって生きていけばいいのかわからないくらいに拓海くんにハマってしまったのに。





いつかは離れ離れになるのかな…
< 172 / 205 >

この作品をシェア

pagetop