君のイナイ季節
「大丈夫か?」

後ろからパパの声が聞こえる。

「お願い、救急車呼んで」

振り返ってそう言うと、すぐに私は拓海くんを見つめた。

「…約束して。
絶対に幸せになるって。
たとえ僕がいなくても…」

「何、馬鹿な事、言うのよ!!
冗談もいい加減にしてよ!!」

私の目から大粒の涙がこぼれた。

左手で私の手を握っている拓海くんは右手で私の頬の涙を拭った。

そして一瞬起き上がったと思ったら。

唇にキスをされて、一言。

「ありがとう」

そして再び私の腕の中にその身体は沈み込んだ。

もう、左手の握っていた感触は消えて、力無く私の腕の中に…



空からは白い雪がひらひらと舞い降りてきた。

それはまるで天使の羽根のように。
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