君のイナイ季節
「…もちろん」

拓海くんは優しく笑っていた。

私は夢じゃないかと左手をつねったら。

痛かった。



「そうだ」

食事が終わってから拓海くんはもう一度デパートに戻ろうと言う。

「買いたいものがあるんだ」

行った場所はなんと、貴金属のコーナーで。

「何がいい?」

ええー!!

いきなり。

そんなの。

「拓海くん、今日はいいよ」

目の前にある指輪の値段。

軽く3万越えてるし。

「いいよ。
僕、一応勤労学生だから」

「で、でも」

「あ、これなんかいいんじゃない?」

完全に拓海くんのペースにはめられた。
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