君のイナイ季節
その翌日。

帰り際に職員室へ呼び出しを食らってしまった。

しかも拓海くんまで。


「これって」

担任が差し出した用紙は昨日、私が出したもの。

「本気で書いているの?」

拓海くんはその用紙をじっと見ていた。

「…あの、」

私は『自分で勝手に書いた』と言うつもりだったのに。

「卒業したら、そのつもりですが、何か問題でも?」

拓海くんの鋭い目が担任の先生を突き刺した。

思わず先生が後ろずさりをするくらい。

「じ、じゃあ、ご両親は知っているのね?」

「まだ言う機会ではないので言っていません。僕の、今季のレースが終わってから言います」

拓海くんの発言であっさりと開放された。
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