君のイナイ季節
「僕、2年も真由ちゃんが好きなんだよ〜!!」



声がでかいよ、拓海くん。

追っかけの子に気付かれるよ。



「まさかこの桜を二人で歩いて見られるなんて夢にも思わなかった」

そう言って笑う拓海くんは本当に喜んでいて、私も嬉しくなってしまう。



「僕、初恋は両想いにならないって聞いたけど」

拓海くんは少し前に歩いたかと思うと、クルリ、と向きを変えて私の向かいに立った。

「僕は両想いになって、更に結婚しようだなんて」

そう言ってはにかんだ。



「初恋も、実るものなんだね」
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