君のイナイ季節
桜の花びらが。

また風に吹かれて。

私達を包んだ。



私と拓海くんは頭上にある、満開の桜を見上げた。

ひらり、ひらりと舞い降りる花びらは幻想的で。

私達はしばらくそこを動けずにいた。



「来年はもう、卒業しているけど」

拓海くんは桜を見上げながら

「来年も一緒に、こんな綺麗な桜を見たいね」

拓海くんは視線を私に戻して優しく微笑んだ。

また、桜の花びらが舞い降りる。



私は笑って頷いた。
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