君のイナイ季節
電車を降りるとまだ春の肌寒い空気に包まれた。

少し身震いをする。

もう少し暖かくしてきた方が良かったかな。

改札口を出ると拓海くんが手を振っていた。

私はすぐに駆け寄る。

「ごめんね、待ったでしょ」

拓海くんはいつも約束している10分前には待ち合わせ場所にいる。

「いいよ」

拓海くんはそう言って私の手を握った。

その温もりが少しだけ、安心感をあたえてくれる。

駅から、歩いて15分くらいでお店に着いた。



緊張が!もう、逃げたいくらいに高くなっている。

「そんなに緊張しなくていいよ」

私の手の汗を感じ取ったのか拓海くんは私を穏やかに、少しでもリラックス出来るように言ってくれた。

「ありがと…」

その心遣いに感謝した。
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