君のイナイ季節
私が呆然としていると、

「レースクィーンといっても、傘持っているだけだし。あ、ちょっと立ってみて」

お母さんに言われるまま私は立つと

「拓海と身長、同じくらいなのね。入って来た時から思っていたけど」

隣にいる拓海くんは、ほっとけ、と呟いた。

「ちょうど、今度のレース、これから知り合いの女の子に声をかける予定だったから、良かったらやってみない?」

「母さん、無理に誘わないでよ」

拓海くんは少しイラついているようだったけど。

少しでもお手伝い、こんな私にも出来るかな。

「やってみようと思います」

私はいつの間にかそう答えていた。

少しでも拓海くんのそばにいたいから。

多少恥ずかしくても我慢できる。
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