君のイナイ季節
「文化祭、あちこち回りたかったんじゃない?」

人気のない屋上で私達はちょっと遅い昼ご飯を食べる。

「…別に、いいし」

お腹が空いていたのか、拓海くんは食べる事に必死だ。

思わず笑ってしまった。

「笑うな!!」

そう言って私に背を向けて必死に食べている。

「私の分もあげるから」

手付かずのお弁当をそっと拓海くんに差し出した。

「…いいよ、一つで」

振り向いた拓海くんの頬に御飯粒が。

手をそっと差し出して取りそのまま私は食べてしまった。

拓海くんが一瞬、体をビクッとさせた。

…ちょっと、これはヤバイ?
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