君のイナイ季節
「これが今年、僕が乗るバイク」

話し合いが終わるとお店の更に奥に連れていってもらった。

そこで見たのは今年からGP250というクラスに参戦する拓海くんのマシンだった。

その横には専属のメカニックの人がいて、一見小さいお店で、チームを作っているように見えるんだけどかなり本格的というのがわかる。

メカニックの方と挨拶をした後、今度は拓海くんと同じようにレースに参戦している人に会った。

門真 総一さん

クールな印象。

色白で華奢な体型、身長は拓海くんより少し高い。
穏やかそうな表情だけど、内面に秘めたものは凄い、とは拓海くん。
歳は27歳でちょうど10歳、私達より年上だ。

なんと小学4年で親元を離れて拓海くんのお父さんの元でレース参戦しているとの事だった。

拓海くんにとってはお兄さん的存在なんだって。

レースのないときは整備士としてお店でお客さんのバイクを修理したり、自分のマシン調整をしたりしている。

その横でウロウロしているのは拓海くんの弟、祥太郎くん。

5歳年下で今は中学1年生。

彼も地方のレースに出ているとの事だった。

笑った表情は拓海くんそっくりだった。

なんだかすごく懐かれて、色々話をしてみた。

それを見た拓海くんがブーブー不平不満を言う。

…弟にまでヤキモチか。
< 62 / 205 >

この作品をシェア

pagetop