君のイナイ季節
「馬鹿か?」

そのバイクに結局路肩へ停車させられて、ヘルメットを脱いだその人は。

拓海くんのお店で働いている総一さんだった。

反対車線を走っていて拓海くんのバイクに気がついて慌ててUターンをして追いかけてきたらしい。

「馬鹿な奴らは放っておけよ!
相手にする必要はない」

その言葉に拓海くんはぐっと唇を噛み締めた。

「彼女が可哀相だろ?」

拓海くんはハッと我に返って私を見る。

私は…

あまりの恐怖で涙がポロポロ零れていた。

本当に手を離してしまいそうで…
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