君のイナイ季節
「…そんなの、無理だし」

ようやく声を出せたけど、今にも消えそうな声。

「俺は君の事、破壊したくなるくらい好きだし」

胸辺りまである、自慢の髪の毛を触られた。

拓海くんにしか触らせた事がないのに。

「やめてよ!!」

「嫌だよ」

この人、完全に妄想の世界に入っている。

私を路地裏の壁に押し付けた。

右手首を完全に押さえられているので逃げるに逃げられない。

「私にはちゃんと彼氏がいるの!!
触んないで!!」

叫んでも聞こえていない。

私の顎、首筋を指でなぞる。

「嫌だってば!!」
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