君影草
「結衣」

もう一度そっと言葉をつむぐ

記念日や大型連休が来るたびに、結衣がいない実感がわく

結衣がいれば想い出を増やせた日々も、ただ過ぎていってしまって

次の年違う場所で違う思い出を作れた可能性もだんだんと消えていく

25のGWは一度しかなくて、26の誕生日も一度しかない

もう二度と結衣をその時を過ごせないのが、とても寂しい

ああ、結衣がいたらな

そう思わずにはいられない

強くなろうとならなければと思うのに

いつもいつも立ち止まって、振り返っている自分が居る

「結衣」

頼むから早く帰ってきてくれ

一度も口に乗せたことのない願い

口にしてしまったら何か張り詰めているものが壊れてしまいそうで

でも、ずっと胸に燻ぶっている想い
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