ユキ色
あたしがユキの浮気に気づいたのは、高校生になって初めての夏──もう半年も前のこと。
あたしの家に遊びに来ていた時、ユキはテーブルの上にスマホを置いたままトイレに行っていた。
その時、LINEの通知があって……本当にたまたま、見えてしまった『白石くん、大好き』の文字。
帰ってきたユキがスマホを弄り、ちらりとこちらを伺いながら確認して。
そして、照れたように、なにより幸せそうに笑ったんだ。
『僕もだよ』とでも返事をしたのかな。
どこか他人ごとのようにそう思った。
それをきっかけにユキのことをよく見ていれば、怪しいところがたくさんあった。
最初の頃……、と言ってもあたしが気づいてからだけど、夏から少しずつ、あたしたちの時間が減っていっている。
なのに、なにも言えない。できない。
だって、もしそれで終わってしまったら?
LINEで知ってしまった彼女、ハルカちゃんを選んだりしたら?
…………嫌だよ、そんなの耐えられない。
ずっと一緒だよって約束したもん。