ユキ色
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教室の自分の席。
珍しくあたしが真剣に見ているのは教科書でもなく、本でもなく、バレンタイン特集の載った雑誌。
「んー」
ずるずるずる、と滑っていき、あごを机につける。
バレンタイン、か……。
今までは溶かして固めただけ、しかも量が少し多いだけで友だちにあげるものとなんら変わりなかったユキへのチョコレート。
だけど、今年くらいは。
「ちゃんとしたものあげよう、かな」
とはいえ、今年のバレンタインは日曜日。
学校ではあげられない。
……会えるのかなぁ。
思わず完全に机に突っ伏してしまう。
ハルカちゃんだってバレンタインだもん。
会いたいに決まってる。
ふたりともに会いたいと言われたユキはどちらを選ぶのだろう。