分かっていた。彼の気持ちが、もう自分には向いていないこと。それでも、自分から終わりにはしたくなかった。
カウントダウンが終わる……そのときまで。
切ない。それ以上にこの作品に合う言葉はないと思うほど、とにかく切ない物語でした。
わずか十数ページの短編小説ですが、結晶の気持ちが充分すぎるほど伝わってきて、読んでいて自分も苦しい気持ちになりました。
でも、優しくもありました。
結晶も、ユキも。
お互いに優しすぎるから、言い出せなかった。
一見間違っているかもしれないけれど、その気持ちはとても共感出来る気がして。
まるで静かに降る雪のように自然な描写は、さすがこの作家さんだなぁと感心して。
決して幸せな結末とは言えませんが、“優しさ”が温かい気持ちを残してくれる作品でした。