君への想いよ届け

次の日。
俺は朝、靴箱にいる比野宮の姿を見た。
昨日のことが脳裏に焼き付いている。

あいつのことが頭から離れなくなった。

体育の時間、女子が先に持久走だった。
あいつの顔色が悪いように見えた。

走り始めてからそんなに時間はたってないと思うが、俺は友達と話していたとき、女子の叫びに近いような声が聞こえてきた。

「美羽っ‼︎」
「ちょっ、誰かっ‼︎先生呼んできて!」

なんだ?

俺は、女子の輪の隙間から様子を見た。

っーー‼︎
比野宮‼︎あいつ‼︎


俺はすぐに、比野宮のところにかけよった。
そして、膝の裏に手を回し方を支えて持ち上げた。
そう。いわゆるお姫様抱っこ。
周りからは女子の「きゃー」という声が聞こえてきた。
そんなのに構わず、保健室へと急いだ。
そんな俺の後ろを川島がついてきた。
その後は、比野宮を保健の先生に任せ、俺は体育に戻った。
戻る途中に、川島にいわれた。
「どう思ってるの?…美羽のこと」

「どうって。別に。」

「別にって…そんな…そんな中途半端な気持ちで、あの子に接しないで!自分が前に、美羽にしたこと、わかってんの⁉︎」

そう訴えてくる川島の目には涙がうっすら溜まっていた。

あぁ。俺がしたことは最低だ。
ふった女に思わせぶりな態度をとってるようなもんだからな…。
自分の気持ちがよくわかんねぇ。

…わかんねぇんだよ…
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