城跡に咲く花〜使用人×王女〜
「姫さま……!ご無事ですかっ…!?」


聞き覚えのある声に、ユリアは信じられない思いで振り向いた。

「………グレ…ン…?」

王間の入り口に、逃がしたはずのグレンが立っていた。

その向こうに倒れている反乱軍の腰には剣がない。

彼がこの剣を投げたのだろう。


「……っ、グレン怪我を…!?」

彼を視界に入れて、ユリアははっとした。

「…グレン……っ!!」

彼女が駆け出すのと彼がその場に崩れ落ちるのは同時だった。


ユリアの喉から引きつった声が漏れる。

「グレン…!グレン…っグレン……」

少女はグレンのそばに座り込んで蒼白になった。

グレンの脇腹には赤い血が滲んでいた。

鋭いそれは剣の傷のようだ。
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