城跡に咲く花〜使用人×王女〜
泣き笑いのように表情を歪めて、ユリアは言葉を紡いだ。

「グレン…、すまない……」

彼は驚いたように瞳を見開いた。

「……すまない…」

「…やだな、なにを謝ることがあるんですか。これは俺の我儘です。…聞き入れてくださってありがとうございます」

あやすように微笑まれて、ユリアはただ首を横に振ることしかできなかった。


我儘なのはわたしだ。

グレンには幸せになれる未来があったのに―――


「俺は…俺は幸せです。ユリアさま、この想いがあなたに届いたのだから…」

「……っ、そんなのは……」


そんなのは駄目だ。


この想いを彼に伝えられたならと、ユリアとてずっと思っていた。

同じ気持ちだったことがどうしようもなく嬉しくて、幸せで。
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