城跡に咲く花〜使用人×王女〜
視界が涙で揺れた。
涙目でユリアは微笑んだ。
「…グレン、……」
ずっとずっと彼だけが大切で、ずっとずっとそばにいたかった。
笑い合った日々があったから、きっとここまで生きてこれた。
ゆるされるはずのない身分で、それでも。
「…わたしもお前を愛してる……」
「……光栄です、ユリアさま」
抱き寄せられて、ユリアは瞳を閉じる。
髪を梳く指先が、額に触れる唇が、どこまでも優しい。
このひとに出逢えてよかったと思った。
朽ちかけた城の奥で、ふたりは初めての口づけを交わした。
涙目でユリアは微笑んだ。
「…グレン、……」
ずっとずっと彼だけが大切で、ずっとずっとそばにいたかった。
笑い合った日々があったから、きっとここまで生きてこれた。
ゆるされるはずのない身分で、それでも。
「…わたしもお前を愛してる……」
「……光栄です、ユリアさま」
抱き寄せられて、ユリアは瞳を閉じる。
髪を梳く指先が、額に触れる唇が、どこまでも優しい。
このひとに出逢えてよかったと思った。
朽ちかけた城の奥で、ふたりは初めての口づけを交わした。