城跡に咲く花〜使用人×王女〜
***


ユリアとグレンは手を絡めたまま、ふたり並んで床に横たわり天井を見上げていた。

城が燃えているからだろう、背中を預ける石の床がじわじわと熱を増してきている。


「なあグレン、…」

絡めた指に力を込めて、ユリアは彼を見上げた。

「さらってしまいたかったのはわたしも同じだよ」

そっと囁くユリアに、グレンは心底情けない表情を浮かべた。

「………それじゃあ俺の立場がないです」

「ははっ」


弾ける笑い声。

眩しい笑顔。

グレンは彼女から瞳を離せなくなる。


強気で男前で、どこまでも優しい王女さま。

特別に想ってしまうのは仕方のないことだと思う。

ユリアは魅力に溢れ、いつもグレンの心を惹きつけてやまなかった。


ひとしきり笑ったあと。

「グレン、…」

「……はい?」

小さな声でぽつりと呟いたユリアに、グレンは視線を移す。
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