城跡に咲く花〜使用人×王女〜
それまで毅然とした態度を崩さなかったユリアがくしゃりと表情を歪めた。
グレンが声を荒らげるのを聞いたのは初めてだった。
「………だめだ、グレン。…そんなことはゆるさない」
やっとの思いで言葉を紡ぐ。
「先ほど火が放たれた」
この城はもう時期落ちる———
「もはや一刻の猶予もならない。お前たちは逃げるんだ」
ユリアはただただまっすぐにグレンを見上げた。
「グレンは生きろ」
微笑む彼女はどこまでも気高く、王族の威厳に満ちていて。
グレンは咄嗟になにも言えなくなった。
その隙をつくようにユリアは周りを見渡す。
「みな、こちらへ」
彼女は首にさげていたペンダントを外し、床に膝をつく。
「姫さま…?なにを…」
忠臣たちが見守る中、彼女はカーペットの模様に紛れていた金具を探り、それにペンダントを差し込んだ。
グレンが声を荒らげるのを聞いたのは初めてだった。
「………だめだ、グレン。…そんなことはゆるさない」
やっとの思いで言葉を紡ぐ。
「先ほど火が放たれた」
この城はもう時期落ちる———
「もはや一刻の猶予もならない。お前たちは逃げるんだ」
ユリアはただただまっすぐにグレンを見上げた。
「グレンは生きろ」
微笑む彼女はどこまでも気高く、王族の威厳に満ちていて。
グレンは咄嗟になにも言えなくなった。
その隙をつくようにユリアは周りを見渡す。
「みな、こちらへ」
彼女は首にさげていたペンダントを外し、床に膝をつく。
「姫さま…?なにを…」
忠臣たちが見守る中、彼女はカーペットの模様に紛れていた金具を探り、それにペンダントを差し込んだ。