城跡に咲く花〜使用人×王女〜
ユリアは彼の応えに瞳を細め、「ありがとう…」と囁いた。
そして思う。
泣きたい気持ちになるのはなぜなのだろう。
胸に入り混じる思いは複雑すぎて彼女自身にさえわからない。
安堵と哀惜と寂寞と…。
やがて全てを断ち切るように王女は顔を上げた。
「これを…」
ペンダントをルシアの首にかける。
出口を開けるときにも必要になるかもしれない。
「……本当に…お残りになるのですか…?」
侍女のひとりが震える声で問いかけた。
彼女の覚悟が変わらないことを痛いほど感じながら、それでも諦め切れず出た問いだろう。
ユリアははっきりと頷いた。
「あんな王でも父親だ。見捨てられない」
埃に汚れた顔で、仕方ないというように笑う。
その姿はそれでもなお気品に満ちていて。
彼女は紛れもない王族だと思わせた。
そして思う。
泣きたい気持ちになるのはなぜなのだろう。
胸に入り混じる思いは複雑すぎて彼女自身にさえわからない。
安堵と哀惜と寂寞と…。
やがて全てを断ち切るように王女は顔を上げた。
「これを…」
ペンダントをルシアの首にかける。
出口を開けるときにも必要になるかもしれない。
「……本当に…お残りになるのですか…?」
侍女のひとりが震える声で問いかけた。
彼女の覚悟が変わらないことを痛いほど感じながら、それでも諦め切れず出た問いだろう。
ユリアははっきりと頷いた。
「あんな王でも父親だ。見捨てられない」
埃に汚れた顔で、仕方ないというように笑う。
その姿はそれでもなお気品に満ちていて。
彼女は紛れもない王族だと思わせた。