大嫌いな最愛の彼氏【短編】
彪河は、また愛華をきつく抱きしめた。

愛華も恥ずかしがりながら、ゆっくりと、彪河の背中に腕を廻した。


「うわ、マジヤベ。超好き」


彪河は次々と恥ずかしい言葉を発する。

愛華の顔は、度々真っ赤になる。


「うるせぇ!キモイ!」

「何だよ、照れんなって」


極上の笑みを愛華に向ける彪河。

いつの間にか、上機嫌になっていたようだ。


「なぁ、愛華も言ってよ」

「はぁ?何をだよ?」

「だから…俺の事、好き?」


先程とは変わって、妖艶で悪戯な微笑み。

魔法が掛かったように、愛華はその微笑みに虜になる。


「なぁ、言ってよ」

「はぁ!?そんなこっ恥ずかしい事、もう言わねぇよ!」

「ふぅん?じゃあ、もっと恥ずかしい事してもいいわけ?」


彪河は慣れた手つきで、ベアトップの中に、スルリと手を忍び込ませる。

突然身体に触れた彪河の手が、愛華の肌を撫で回す。


「あっ…ゃぁんっ…」

「うわ、その声超ヤベェ…」


いやらしい声を出す愛華。その声を楽しむ彪河。


「ちょっと…やめ…」

「じゃあ言って?」


手を抜き取って、彪河はニッコリ笑った。


「ほら、早く」


何故か急かす彪河。愛華は、まだ顔が赤いままだ。


「嗚呼〜もうっ!」


グイッと彪河の腕を引っ張る。そして、チュッと唇を重ねた。

愛華の行動に、彪河は唖然とする。

「ひゅ…彪河が……好き…」


林檎のように真っ赤な愛華。

そんな愛華を愛しそうに見つめて。


「良く出来ました、俺の可愛い愛華チャン♪」


「……アンタなんて…
大嫌いっ!」






アタシだけの
大嫌いな最愛の彼氏。



本当は………
世界で一番大好きだから。





end

< 20 / 26 >

この作品をシェア

pagetop