大嫌いな最愛の彼氏【短編】
「とっ、とにかく!今はもう、下校時刻だ!早く帰りなさい」


二人の喧嘩に割って入った先生が、溜息混じりに言った。

チッ…と舌打ちをして、二人の喧嘩は、なんとかおさまった。


「まったく……どうして二人は、こんなに仲が悪いんだ?」


先生がぼやく。


でもね、先生………

それは貴方の思い違いですよ…

知らない間に、彼等の心には、何かしらの変化が訪れていたんですから……。







家に帰った愛華は、家の前に群がる、数人の女達に気がついた。

なんだか落ち着かない様子で、ソワソワしながら、愛華の家の前を、行ったり来たり。


「何だよ、あれ」


気になった愛華は、その群がる女達に話し掛けた。


「誰?あんたら」


いきなり話し掛けられたからか、女達は、ビクッと肩を震わせて、こちらに振り向いた。


「アタシに何か用?」


愛華は凄みの利いた声で、女達に問い掛け、キッと睨み付ける。

すると、一人の女が、愛華の目の前に出て来た。


「あっ…貴方が、宮原愛華…?」

「はぁ?そうだけど。だから何?」


女は、思いきり愛華を睨んだ。

しかし、愛華にはどうってことのないぐらい、弱々しいモノだった。


「あっ、アンタが彪河を奪ったのね!?」

「…………は?」


意味の解らない事を口走る女。

愛華は、理解出来ず、ただ顔をしかめるだけ。



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