超企業
不吉に感じた。
六道さんの表情にあせりが見える。
お経の声も大きくなっているようだ。
それもそのはずだった。
二人のボディーガードはとっくに力尽きているのに、千代川会長はまるで何事もないように平然と立っている。
そして、会長は銃口を六道さんに向けた。
「天罰を、与えてごらんよ。当てられないなら僕はこのまま引き金を引くからさ。」
六道さんはじわりと、汗をかきはじめている。
「ど、どうして、効かないの…!?人間なら、この力には対応できないはず…。」
千代川会長は不気味に微笑んだ。
「そろそろ飽きたよ。君は、クビだよ、六道さん。」
バン!!!
激しい銃声とともに、六道さんの胸から血が飛び散った。
「か!がは!!」
六道さんは吐血したが、坐禅をやめず、お経を唱え続けた。
「さすが、神に精通する身だね。クビにするには惜しいよ。」
バン!!!
バン!!!
三発目が放たれたと同時についに六道さんは倒れ果ててしまった。
千代川会長は冷徹な表情で六道さんを見下している。
「会長…、あなたは…、修羅の……け、しん。」
バン!!!
バン!!!バン!!!
うっ!!!
僕は気分が悪くなり、トイレに駆け込んだ。
確かにみた映像は、六道さんとボディーガードの二人の頭に突き刺さった銃弾だった。
さらにメールが届いた。
「解雇処分、六道リンネ。」
「う、うわああああああ!!!!!」
僕は声がかれるか、息が続かなくなるまで叫んだ。