超企業

「僕も同じさ、龍崎。できるわけないような任務与えられてさ。六道さんのように、殺されるかもしれない。」



六道さん、彼女は昨日会長に殺されてしまった。




「やっぱり、殺されちゃったんだ…。あたし、怖くなって途中から見てないの。」



そうだったのか。



あのあと僕はトイレで嘔吐してしまい、げっそりしてバーをでたっけ?



七色さんはムービーが終わると何もなかったかのようにまたスロットしてた。




ここには常識人が少ないということが改めて実感できた日だった。





しくしくと泣き崩れる龍崎は、お茶を一滴も飲まない。




僕はとりあえず慣れていない感じで龍崎の手を握ってあげた。




こんな場面じゃなかったら、こんなことは絶対にしないであろう。


  


「秋山、あんた、何の取り柄もなさそうだけど、優しいね。」




「僕は、お前のこと嫌いだったけど、今では、この状況では僕と同じ平凡な人間っていうのが分かってさ。どうしてもほっておけない気がするんだ。」



死んでほしくない。



このけばけばしかったギャルだけど、このメンバーの中で最も僕に近い人間に死んでほしくなかった。




「龍崎、お前どんな仕事してるんだ?僕の方が終わったら手伝うよ。」




「あんたこそ、そんな目にクマ作っといてさ。いいよ、またそのときが来たら話すからさ…。」




龍崎が顔を上げこちらを見ると、僕は急に恥ずかしくなって手をさっと放した。




そんな僕をみて、龍崎はプッと笑った。




「な、なんだよ!」



「秋山って、童貞?」



なっ!?やっぱりコイツはギャルだった。しかも僕の嫌いな部類のギャルだ。




「さあ、仕事始まるぞ!そろそろいこう…うっ!」




バタン!



気づくと、僕は龍崎に押し倒されていた。
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