超企業
僕は再びあたりを見渡した。
みんな交流が始まっているなあ、うん?1人で隅っこにいる女子がいるぞ。
別に女子だけと絡みたいわけでもなかった。
ただ、その子が一人でいるから話しかけようと思っただけだ。
その子はさっきのギャルとは違い、清楚系な感じで黒髪ロングのおとなしそうな子だった。
「あの、」
僕が話しかけると、こちらにぴくっと気づき、警戒してるような感じで答えた。
「なに…?」
「ああ、いや、なんで1人で飲んでるのかなあっておもって。君は交流しないの?」
「どうして?」
どうしてって…。そりゃあ。
「そりゃあ、こんな希有?な企業に入った者同士いままでどんな事があったかも知りたいし、一緒にこれから働いていく仲だしさ。」
その子はワインを飲みながら冷静な様子で話しはじめた。
「だからこそ1人でいたいの。こういうところだから触れ合いとか群れてたら危ないってこともある。みんな仲間とは限らないでしょ?」
なに言ってんだこのひと…。
「分からないの?一人にしといてって言ってるの。じゃあね。」
その子はそういうと、僕から遠ざかるようにまた違う隅っこへ移動した。
なんなんだよこの変な人達、まともな人いないのか。
そんな風に思ってると、
「よお!気にスんなよ!アイツは誰が話しかけてもああだからさ!」
と、突然僕の肩に腕をかけてきた男。
「なっ!き、きみはなんて格好してたんだよ!」
そいつはまるで、木枯らしもんじろうのような昔の旅人のようなマントの下にスーツをきていた。