超企業
それに三度笠と口には葉っぱをくわえている。
「これがおかしいかい?これは俺のトレードマークでもあるのさ。あと、こいつと。」
「うわっ!」
なんとそのストライプ模様のマントの中からイタチがでてきた。
「可愛いだろう?いつか話しかけてくれると信じてこうしていつも肌身はなさずもってるんだぜ!」
そういいながらソイツはイタチを笑顔でなでなでした。
まあ、少なくとも悪い奴ではなさそうだ。
「変な人だらけですよね。ははは。」
その後ろから現れた背の低めの男。
こいつはまともそうなやつだ。
「菜種くん、自己紹介しときましょうよ。」
どうやらイタチ野郎は菜種(ナタネ)くんというらしい。
「おう、そうだな!今回会えたのも何かの縁だしな!俺は菜種ディル(ナタネディル)、見ての通り風来人さ!」
なんだその風来人って…。ネタなのか?
「あはは、彼おもしろいでしょ?あ、僕はコロッケです。木津地コロッケ(キヅチコロッケ)と申します。以後お見知り置きを。」
木津地君はぺこりと礼儀正しくこちらに一礼した。
僕もつられて一礼してしまった。
「あ、僕は秋山ラット、よろしく。取り柄はなにもない平凡なことが取り柄かな、アハハ。」
「そうか、確かに平凡そうだな!よし!こんど休みが取れたら俺と一緒に旅にでよう!」
そういってまた菜種君が肩に手を回してくる。
この人、こんなんで大学卒業できたのか!?
「アハハ、菜種君は世界中を旅してるんですよ。それもロクに支度も整えずほぼ歩きだそうです。」
木津地君が言った。
「あ、歩き?どこからどこまで旅するの?」
僕は気になって菜種君にたずねた。
「ふむ、ふむ、まあ日本全国は回ったかな。なあ知ってるか?マンホールを99個抜けたら異国にたどり着けるんだぜ?ナッハッハッハ!!」
この人絶対ねじ飛んでる…。関わりたくないけど、まあ悪い人ではなさそうだ。
「木津地君は?どういった感じでここ入社したの?」
僕はふときになってきいてみた。
こんな真面目そうな人がこんなふざけた企業選びそうになかったからだ。
「僕は不治の病にかかった父さんを治すためにお金が必要なんです。」
突然シリアスな雰囲気で話しはじめる木津地君だった。
「不治の病?」
「はい、なにやらとてつもない病気で治すために莫大なお金が今すぐ必要なんです。」
木津地君はそんな入社目的でここに入ったらしい。
「そもそも初任給2兆円って本当なのかな。」