超企業
「えー、皆様お楽しみのところ申し訳ございません。交流も深まったところで、仕事内容へと移っていきたいと思います。」
いよいよ仕事の話らしい。
千代川会長が話し始める。
「えー、まず本社は完全なブラック企業と呼ばれる分類ということを皆様にご理解いただきたいです。労働基準法を無視した労働時間に、超がつくほどの重労働、シリアス労働、ミスは絶対許されません。具体的な仕事は人それぞれに与えられる何でも屋といったところでしょう。その試練に打ち勝ち、見事1ヶ月と10日働いていただけた方に関しては、約束通り御礼金2兆円を支払わせていただきます。」
ブラック企業?重労働?まあ2兆円なら当たり前といえば当たり前だな。
「あの、ちょっと待ってください。」
誰かが話を中断させた。
「ブラックっていったいどれくらいブラックなんですか?命にかかわるくらいですか?」
千代川会長はすぐに真顔で答えた。
「ええそうです、死者も何人かでる予定です。」
!!!
会場が一気に揺らめいた気がした。
「死ぬって、そんなの犯罪じゃないか!」
また誰かが叫んだ。
「うるせえなあ、旅と死は隣り合わせだろうが…。」
これは菜種君の声だ。
千代川会長は続ける。
「静粛に!!ですから皆様に猶予を与えます。本日よりこの下の会場に寮を設けました。それが皆様の暮らす会社の寮となっております。本日の8時までにその寮に入ってない方は解雇と見なします。ですのでこの時点で働く気のない方は戻っていただかなくても良いです。」
なっ!?
そんなこともできるのか。
「それでは現在20名お集まりですが、皆様にはただいまより、本社のスマートフォンをお配り致します。なお、このスマートフォンが寮の鍵となっておりますのでなくさないよう注意してください。」
そう言って、千代川会長は順番にスマートフォンを配っていく。
僕は手渡されたスマートフォンをタッチしてみた。