超企業





午後8時、僕は寮の自分の部屋に入っていた。



ここまで一瞬で時が流れた気がする。




すごく早く、時は流れた。





寮の部屋は20部屋ちょうどあった。



地下の地下にあるまるで神殿のような構造で、それもまたお洒落といえばお洒落な階層だった。



部屋は十分な設備が整っている。


空調管理、ふかふかのベッド、液晶テレビ、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、トイレ、風呂、タンス、一人暮らしにはもってこいのモノがほとんど揃っていた。




ただ、地下にあるため朝日とともに目覚めることはない。



朝の爽快さはもう味わえないだろう。





と、そこでスマートフォンにメールが届いた。




会長からだった。




「約束通り部屋に入っていただけていますね。秋山君の入社を正式に認めます。なお、このメールで毎回仕事内容の連絡を致しますのでくれぐれもなくさないように。明日は朝8時にこのホールにある雲の間に来てください。さっそくですが仕事を依頼します。遅刻は厳禁で、その場合は解雇と見なします。時間厳守でよろしくお願い致します。それでは明日からも頑張ってください。おやすみなさい。」






とりあえず、首にならなくて済んだみたいだな。


ふぅ…。



あれ?このスマホ、、他の人達のアドレスも入ってる。



ああ、同じく入社した他の19人のアドレスってわけか。





ふむふむ、あれ?16個しかアドレスと名前がない。




しかも今日話した木津地コロッケ君のアドレスもそれの一つで見当たらない。



これってひょっとして…。





この時の僕の想像は生ぬるかった。



この企業の本当の恐ろしさを、僕はこれからじっくり知ることになるのだった。
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