超企業

僕がケータイを閉じて向かった先は、キャリアセンターの受付だった。



「あ、あの、すいません!」


僕は受付の人にこの怪しい企業について聞いてみることにした。




受付の人も驚いていた。




そして笑っていた。





「秋山さん、落ち着いてください。ちょっと調べるのでそこに座っててくださいね。」





確かに僕は取り乱していた。



エントリーしたとはいえ、まだこの企業にさほど突っ込んでいない。



ここまで慌てふためくことはないだろう、僕自身気がつかなかったけど向こうから見たらおかしかったみたいだ。





それからしばらくして、さっきの受付の人が僕を呼んでくれた。




「お待たせしました秋山さん。」


「それで、その企業は?」


「どうやら岐阜県の中心部に実在する企業だそうですが、初任給は未詳となっていました。その他もほとんどが未詳で怪しいのは間違いないですね。」



受付の人はさっきと違い、真面目な顔でその会社について話してくれた。



「では、エントリーはやめておいたほうがいいですよね?」



僕は聞き返した。




「まあ、そうですね。オススメはしません。さらに説明会もどうやら岐阜の本社だそうで、ここからは少し遠いですしね。」




僕が住んでいるのは神奈川県の横浜だ。




確かに遠い。






「分かりました。ありがとうございます、失礼します。」






僕は軽く挨拶をして、今日はもう自宅に帰ることにした。

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