この運命を奇跡と呼ぶならば。
藤堂のその説明にますます渋面を作る土方に代わって山南さんが説明を求めてきた。
「それは、どういう事ですか?藤堂君の傷は乙宮君が治したと…?」
「はい。副長、俺も確かにこの目で確認しました故、平助が言う通り桜が傷を治しました。」
「いや、“治した”と言うより“癒した”って表現の方が当てはまる気がするけどね。」
「“癒した”…?」
沖田の“癒した”と言う所を鸚鵡(オウム)返しに聞くが話が脱線し始めたので路線を戻した。
「それで?桜が女だと言ったとき驚いていなかったが、知っていたのか?」
「えぇ。ここへ来る前、平助の傷を癒した時に“我、神の血に連なる娘なり。”ってね。」