この運命を奇跡と呼ぶならば。
「お前は…此処に居てもらう。」
土方が桜に処遇を伝えると、ハッとしたように顔を上げた。
「そんな…私、此処に…?」
「なんだ?嫌だったか?」
「いや、そういうわけじゃなくて…私、此処に居てもいいの?女でも?あんな、あんな…変な力を持ってるのに…?」
驚き…というより余りにも意外だったようで、ポカンと口をあんぐりと開けていた。
「変な力…?あぁ、平助の傷を治したことか。」
「そうよ…私の事を気味が悪い、とか、化け物だとか思わないの…?」
「あぁ、思わないな。お前は平助の傷を治しただけで何も悪い事はしていないだろう。だったら、何も問題はない。」
土方がそう言うと信じられない、というように首を左右に振る桜に近藤さんが言った。
「歳の言う通りだ。ほかの人がどう思おうが、俺達は君の事をそんな風には思わないな。」