この運命を奇跡と呼ぶならば。
「え…いいけど。どうしたの?」
桜のあまりの危機感の無さに思わずため息をつきそうになった沖田だがため息を飲み込むと、顔を引き締めて桜に言った。
「なんでもないよ…
桜ちゃん、君、此処が何処だかわかってる?」
「わかってるわ。新選組の屯所。でしょ?」
「わかってないよ、此処は男の住処なんだよ?僕ら幹部の前だからいいけど、外で下手に女言葉を使うと…どうなるかわかるよね?」
「あ…」
沖田は桜の気の抜けた返事を聞くと、頭が痛くなる思いだった。
「今なら、土方さんの気持ちがわかる気がするよ…一生、分かりたくもなかったんだけど…」
「総司、大丈夫?頭、痛いの?」
「ううん。大丈夫、気にしないで。」
「そっか…無理しないでね。」
桜はどこか腑に落ちないような、納得がいっていないような顔をしていたが、頷いた。すると、なにか思い出したようにこう言った。
「あ、明日から土方達いないんだって。」